【アーカイヴ】 「研究の展覧会」 vol.1
modality -都市の様相論-



「研究の展覧会」の第1回を開催しました。このページでは、その内容をアーカイヴしておきます。






  展覧会について


学位論文として取り組んできた「都市の様相」に関する研究(概要はこちら)を、展覧会形式で発表することにしました。
私たちが日々の暮らしを送り、街を歩く中で感じ取っている全体的な雰囲気を「様相」という言葉で捉え、それがどのように把握されているかということに関する研究です。


「研究の展覧会」は、以下の三点を目的としています。
 1)研究者ではない人に研究を知ってもらう
 2)アカデミック界の「発表」の形式に対するオルタナティブを提示する
 3)アートとしての研究を構想する


詳しくはこちらの趣旨文をご覧ください。
「『研究の展覧会』について」






  開催概要


 + 企画・展示 : 北 雄介

 + 会期 : 2012年11月16日(金)〜18日(日) / 23日(金・祝)〜25日(日) 各日11:00〜18:00

 + 会場 : 京都・蹴上「でんかハウス
       (京都市営地下鉄東西線 「蹴上」駅 徒歩3分)


   


 + 来場者数 : 107名(期間外含む)
     →芳名録にて皆さんに書いていただいた、「好きな場所」をアップしました…こちら








  展示作品





街歩きでの記録用紙を、そのまま展示した。


@経路歩行実験 ルートT / A同 ルートU / B同 ルートV(2007年7-8月/京都市内の3つのルート)
ただ街を歩き、書くことで、われわれの捉える都市の様相(modality)を記録しようという最初の試み。研究の出発点であり、すべての様相論の源泉。真夏の日射しの下で約2時間街を歩いてもらう、過酷な実験であった。


C嵯峨嵐山自由歩行(2009年5月/嵯峨嵐山)
嵯峨嵐山エリアを自由に踏査し、様相を記録する試みである。経路から領域への展開。地図の上にトレーシングペーパーを重ねて記録する方法を採用した。雨でトレーシングペーパーが濡れている。


D北の様相記録(2011-12年/シカゴ・ニューヨーク・香港・サンフランシスコ)
私は見知らぬ街を歩くとき、できるだけ地図とペンを携帯するようにしている。ときに記録は単なる記録を通り越し、都市に関する思考の展開を誘発してくれる。なお地図は白黒で、つまらない観光情報の載っていないものがベター。








E様相の記述方法(9分56秒)
ここで言う記述とは、多くの記録を重ね合わせることで曖昧な様相を可視的に表現することである。記述された様相は、個人差を越えて共有されたものとなっている。この作品では、4種類の記録に応じた4種類の記述方法を説明する。

     


F様相の記述結果(2分40秒)
Eの方法による記述の結果。ルート上で次々に移り変わる様相を、直截的に表現した。

     


Gニコニコ様相(5分11秒)
被験者が歩きながら捉えた様相の記録を動画上にプロットした。「ニコニコ動画」は、多数の人の言葉によってある種の様相が自動的に表現される、すぐれた記述装置になっている。

     

※元になっている動画は「ニコニコ動画」で公開中です(http://www.nicovideo.jp/watch/sm19172244)。コメント書き込み歓迎。








H様相論の海
記録の分析や諸々の文献から得られた、私の様相論をマッピングした。都市の様相論はシンプルには表わし得ず、複雑に絡みあった体系をなしている。論文では序章から結章へ向かって文章を書き下してゆくしかないので、このような表現は不可能である。

    
     ※クリックで拡大





展覧会全体の様子の動画もアップしておきます(素人撮影、手ブレ御免)。

     






  次回


「研究の展覧会」は一応シリーズものにしようと思っていますが、次回はおそらくウン年後です。
北以外の人にやっていただくことも可能なので、やりたい人はご連絡ください(それなりのクオリティは求めますが…)。

乞わないご期待。





※この展覧会は、平成24年度科学研究費補助金研究「都市の様相の解読とそのデザイン方法に関する研究」のアウトリーチ活動として行なった。